クリエイティブ・コモンズ・ライセンス北野成昭(キタノナルアキ) 作『獣医志Wiki』はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスで提供されています。

染色法

提供: 獣医志Wiki
移動: 案内検索

category;病理学 category;工事中 [http;//info.fujita*hu.ac.jp/~hirasawa/manual/manual.html 染色マニュアル]←めちゃ、わかりやすいかも!手技としては。

[[以下、WiKiより転載。>http;//ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E6%9F%93%E8%89%B2_%28%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6%29&oldid=16287552]]

生物学において、染色(せんしょく)とは、特定の生物組織 (生物学):組織細胞オルガネラなどに、特殊な色素を用いてを付ける実験技術のこと。特に、顕微鏡での観察をより容易にするため、観察に先立って染色が行われることが多い。例えば、組織中の一つの細胞を顕微鏡で観察する場合、そのままでも形態の違いだけから結合組織中の細胞や、細胞中の細胞核を見分けることは可能であるが、あらかじめ細胞質や核を染色すればそれぞれの観察が容易になる。染色の原理には、観察する標本に含まれている特徴的な生体分子蛋白質:タンパク質核酸脂質炭化水素など)に対して、特定の色素が強く結合する性質を利用したものや、特定の酵素と反応して発色する酵素:基質を用いたものなどがある。用いる色素が蛍光色素の場合、特に蛍光染色と呼ばれる。観察しようとする対象と目的に応じて、さまざまな色素を用いた染色法が考案され、利用されている。
染色は生物学や医学のさまざまな分野で幅広く利用されている。組織学病理学の分野では、特定の疾患に伴って起きる、組織や細胞の形態的な変化を観察したり、疾患の指標となる酵素やタンパク質の発現を確認するときなどに染色が用いられ、病気の診断などにも応用されている。微生物学の分野では、グラム染色などの染色法が、細菌の同定や形態観察に用いられている。一般的には微視的観察に用いられることが多いが、分類学発生学の分野では、透明骨格標本の染色など、巨視的観察に用いられることもある。また生化学の分野では、生体から分離したタンパク質や核酸を電気泳動で分析するとき、これらの高分子を可視化するためにも利用されている。

染色は上記のように微視的観察に用いられることが多いが、研究内容によっては巨視的観察に用いられることもある。例えば魚類分類学的研究や脊椎動物発生学的研究において、硬骨組織軟骨組織の形態を詳細に観察する場合がある。そのためにしばしば透明骨格標本という技術が用いられる。これはホルマリン固定_(組織学):固定した小動物の標本を硬骨組織や軟骨組織に特異的に結合する色素で染色し、アルカリ性水溶液やタンパク質分解酵素である程度組織のタンパク質を分解、さらに組織内の水をグリセリンと置換して体内の骨格を外部から観察できるようにしたものである。
概要として、一般染色法と特異染色法(組織化学的染色法)を説明する。免疫染色(抗体染色)についても特異染色に絡めて触れる。

  • 単染色
  • 多重染色
  • ネガティブ染色

など、基本的な分類の解説が必要。 in vivo染色はまだマイナーに過ぎるので、わざわざin vitro染色として大別して解説する必要はない。以下の章立ては再検討が必要。

in vitro染色
in vitro染色は生きていない細胞や組織に色を付ける。in vitroとは直訳すると「ガラスの中」を意味し、in vivo(生体内)と比較される。単独の染色よりも詳細を明らかにする為、複数の染色法を組み合わせて使うことがある。固定と標本準備の独特な手順と組み合わされて、これら基本的な技術は一貫した、再現性のある科学者医師の検査ツールとして利用できる。対比染色は見える細胞や主要な染色法で染まっていない細胞へ加えられる。例えばクリスタルバイオレット染色はグラム陽性菌のみを染めるグラム染色である。サフラニン対比染色はグラム陰性菌を同様に識別するために、全ての細胞を染めるために使われる。
標本
準備の段階は解析方法の様式に左右され、のちの過程の殆どにそれが要求される。透過処理は細胞の弱い界面活性剤による処理をしばしば含む。この界面活性剤処理は細胞膜を溶解し細胞内へ大きな色素分子を入れる事を可能にする。
固定
固定 (組織学):固定は細胞や組織の形を可能な限り保存するための数段階からなる。殆どの固定液(化学的な固定)はタンパク質と他の基質の間の化学結合を生成してそれらの硬さを増す。通常の固定液にはホルムアルデヒドエタノールメタノール、そしてまたはピクリン酸を含む。組織の欠片は力学的な強さと安定さを増して薄く切り刻むのを容易にするためにパラフィンへ埋め込まれる。
マウンティング
マウンティングでは通常は観察と解析のためにスライドガラスへサンプルを貼り付け。いくつかの場合では、細胞を直接スライドガラスの上で圧挫して伸展させる。互いに結合せず遊離した細胞(血液塗抹や婦人科擦過細胞塗抹の場合)では、検体は直接スライドの上に置かれる。小さな個体や組織はそのままマウントすることがしばしばあり、これはホールマウント (whole mount) という。より大きな組織片では、薄い切片をミクロトームを用いて作る。これらの組織片はこうして切片にすることによってマウンティングと検査が可能となる。

代表的な染色法

その最も単純なものは、スライドガラス上に固定した標本を染色液(色素の溶液)に浸し、過剰な染色液を洗い流した後で観察する。いくつかの染色法では、染色した色素を不溶化するため、洗浄する前に媒染剤を使用する必要がある。


グラム染色

グラム染色(Gram staining)は細菌がグラム陽性か陰性かを決定するために使用される。クリスタルバイオレットやゲンチアナバイオレットで染色し、ヨウ素溶液で媒染した後、アルコールで脱色し、その後フクシンまたはサフラニンで対比染色を行う。 グラム陽性菌は暗い青や青紫に染まり、グラム陰性菌は対比染色によって赤やピンクに染まる。この分類は細菌の細胞壁の構成に基づいている。グラム陽性菌の細胞壁が単純で厚いペプチドグリカン層から形成されているのに対し、グラム陰性菌の細胞壁はペプチドグリカン層は薄く、リポ多糖などの脂質を多く含んだ外膜で覆われている。このためグラム陰性菌の細胞壁はアルコールによって破壊されやすく、最初に染色したクリスタルバイオレット*ヨウ素複合体が容易に溶出して脱色される。

  • 目的
    • グラム陰性と陽性の染め分け
  • 染色体度
    • グラム陰性→赤
    • グラム陽性→濃紫色


ヘマトキシリン・エオシン染色

ヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色、H&E染色)は組織学で組織薄片をみるのによく使われている。ヘマトキシリンは青紫色の色素であり、これに染まる組織をヘマトキシリン好性あるいは好塩基性という。具体的には細胞核骨組織軟骨組織の一部、漿液成分などである。エオシンは赤?ピンクの色素であり、これに染まる組織をエオジン好性あるいは好酸性という。具体的には細胞質、軟部組織の結合組織赤血球線維素、内分泌顆粒などである。特に赤血球はエオシンを強く吸収して、明るい赤に染まる。 エオシンはエオジンとも呼ばれる。

  • 目的
    • ヘマトキシリンで核、エオジンで細胞質を染める。
  • 染色体度
    • 核→青紫(好塩基性:青)
    • 細胞質、線維、赤血球→性質に応じて染色
    • 赤色に染まる事を好酸性と言う


膠原線維

アザン染色

  • 染色体度
    • 青→抗原線維、細網線維、基底膜、粘膜、硝子様物質
    • 赤→核、赤血球、線維素
    • 薄い赤→細胞質
    • 赤または朱色→筋繊維

マッソン・トリクローム

マッソン・トリクローム(Masson's trichrome)は3色染めの手順である。そのレシピはマッソンの最初の異なった特有の利用法から発展したものだが、全てが周囲の結合組織から細胞を見分けるのに適している。殆どのレシピは、扁平上皮細胞のケラチン筋肉:筋細胞の筋原繊維、線維素を赤くし、コラーゲン細胞外マトリックス:基質基質を青やに染め、大抵の細胞の細胞質を明るい赤に、細胞核をく染める。

  • 目的
    • 膠原線維が染色される
    • アザン染色より短時間で染色
  • 染色体度
    • 青→膠原線維
    • 紫黒→核
    • 橙赤色→RBC
    • その他はアザン染色と同様

弾性線維染色

エラスティカ・ワンギーソン染色

  • 染色態度
    • 黒紫→弾性線維
    • 黄色→赤血球、細胞質、筋繊維
    • 赤色→膠原線維、細網線維

好銀線維染色

渡邊氏鍍銀法

鍍銀染色とも言う

  • 目的
    • 細胞の構造で銀に親和性をもつ物は結合織の
      • 格子線維
      • 細網線維
  • 染色体度
    • 黒→好銀線維
    • 赤紫色→膠原線維
    • 黒もしくはえんじ色→核
    • 淡紫色→細胞質
    • 明るい紅色→赤血球

線維素染色

リンタングステン酸・ヘマトキシリン染色(PTAH染色)

  • 目的
    • H*E染色では分かりにくい線維素、線維素血栓などの識別
    • 血管壁のフィブリノイド変性部、神経線維、筋原線維、横紋筋の横紋が染色可能。
  • 染色体度
    • 青~紫青→線維素、筋繊維、神経膠線維
    • 橙赤色→膠原線維、基底膜
    • 紫青色→弾性線維

多糖類・酸性ムコ多糖類染色

過ヨウ素酸シッフ染色(PAS染色)

  • 目的
    • 糖を含む蛋白、脂質などを染色。
    • 基底膜の確認や原虫、真菌の検出にも用いられる。
  • 染色体度
    • 赤紫→グリコーゲン、糖タンパク、糖脂質、中性粘液、基底膜、原虫、真菌

トルイジンブルー染色

  • 目的
    • 結合織、軟骨組織、上皮などの粘膜、肥満細胞の酸性粘液多糖類が塩基性タール系色素に対し異染性を示す事を利用した染色法。
  • 染色体度
    • 赤紫色→酸性粘液多糖類(コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などの細胞外基質、肥満細胞の顆粒)
    • 淡青色→核、その他の組織
    • 大野法でpHを2.5,4.1,7.0と変える事で物質の識別が可能。


category;組織学:せんしよく category;微生物学:せんしよく Category;生物学の研究技術:せんしよく Category;診断と治療:せんしよく

cs;Barven? (biologie) en;Staining (biology) ru;Красители для микроскопии

特殊染色の標的と染色態度


染色方法

標的

染色態度

備考

アザン

膠原線維


マッソン・トリクローム

膠原線維


ワンギーソン

膠原線維、弾性線維

赤(膠)、黒(弾)


渡辺鍍銀

細網線維


PTAH

線維素


PAS

グリコーゲン、真菌

赤紫


トルイジン青

肥満細胞・好塩基球顆粒

異染性(メタクロマジー)、肥満細胞腫

コンゴ赤

アミロイド

赤橙

偏光顕微鏡で蛍光

ズダン?

脂肪


コッサ

カルシウム

石灰沈着

ベルリン青

ヘモジデリン

馬伝染性貧血、心臓病細胞

フォンタナ・マッソン

メラニン

黒色腫

ドーパ反応

メラニン

黒色腫

シュモール反応

リポフスチン

青緑

褐色萎縮(心、肝)

ボディアン

神経原線維、軸索



ルクソール・ファースト青(LFB)

髄鞘(ミエリン)

犬ジステンパー(脱髄)

ツイール・ニールゼン

抗酸菌

結核菌、ヨーネ菌

グロコット(鍍銀)

真菌・放線菌

アスペルギルス症

ワーチン・スターリー(鍍銀)

らせん菌(スピロヘータ、ロウソニアetc.)

黄色いバックグラウンドに黒い菌体

レプトスピラ、豚赤痢、豚腸腺腫症候群

レバジチ染色(鍍銀)

スピロヘータ

同上、標本が美しい

レプトスピラ、PDD(趾皮膚炎)

PAM(鍍銀)

基底膜、老人斑

腎臓、アルツハイマー



異染性(メタクロマジー)

:肥満細胞、肥満細胞腫、好塩基球の顆粒

通常、組織・細胞は染色液本来の色と同じ色調に染色される。

これを正染性という。これに対して、異染性とは、

「色素がある組織に沈着した場合、その部分が本来の色調と異なった色に染まること」


である。

トルイジン青は染色液が青色を呈していて、組織も青色に染まるが、肥満細胞

の顆粒は異染性を呈し、紫色となる。好塩基球でも同様。これらの顆粒は酸性粘液多糖

類を含むため異染性を呈する。